モンテッソーリ教育とは

マリア・モンテッソーリ

 モンテッソーリ教育は、20世紀初頭にマリア・モンテッソーリによって考案された教育法。
 イタリアのローマで医師として精神病院で働いていたモンテッソーリは、知的障害児へ感覚教育法を施し知的水準を上げるという効果を見せ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象とした保育施設「子どもの家」において、その独特な教育法を完成させた。


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モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育を説明する切り口は様々です。なぜなら、モンテッソーリ教育は単なる教育手法ではなく、人間はどのように発達するのか?という学術的な問いから始まった、実験的・実践的な教育手法だからです。その意味では、一つの哲学であるとも言えます。

科学的教育

 創設者のマリア・モンテッソーリ自身は、自身の教育法を科学的教育法と呼びました。

「子どもを教育するためには、まず子どもについて知ろう」

マリア・モンテッソーリ(『1946年ロンドン講義録』第二講義 科学的教育法より)

 子どもの観察を基礎とするこの客観的な教育法は、「どのような子どもに育てるか」という、理想像が先行するこれまでの教育法とこの点で全く異なります。観察の結果、モンテッソーリは、子どもには本来、自分で自分を育てる力が備わっていることを発見しました。

障害児療育

 モンテッソーリはもともと知的障害児の療育に取り組んでいた医師でした。現在でも、非定型発達児をはじめとした、様々な特性をもつ子どもたちにとって、モンテッソーリ教育は優れた教育手法です。それは、一人ひとりのペースに応じてスモールステップでの成長を後押しする教育手法であることが、大きな要因です。

天才を育てる教育 

 Googleの創設者ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン、AMAZONの創設者ジェフ・ベゾス、国内だと棋士の藤井聡太さんなどがモンテッソーリ教育を幼少期に受けて育ったことで知られています。そのため、一部では天才を育てる教育とも呼ばれています。
 もっとも実情としては、モンテッソーリ教育の子ども一人ひとりの活動を尊重する基本方針が、「天才が天才に育つ邪魔をしなかった」からだと思われます。少なくとも、モンテッソーリ教育は、子ども一人一人が本来持っている能力が最大限活かせるように、援助をする教育手法です。

縦割り編成

 モンテッソーリの教育環境は、3歳(または2.5歳)〜6歳の児童の混合編成です。年下の子どもは、年上の子どもがやっていることを見て覚えます。年上の子どもも、年下の子どもの世話を自然とします。そのような子どもたちの社会が自然と生じることで、互いに助け合う社会性が育ちます。

子どもが一人でできるように援助をする教育

 モンテッソーリ教師は、一般的な教師像とは異なります。子どもたちの前に立ち、なにかを教える教師ではありません。教えず、導く教師です。教師の仕事は、まずは一人一人の子どもを観察すること、そして子どもが成長するために適切な環境を整えることです。
 すべての活動は、子どもの自己選択によって始まり、子ども自身の知的好奇心によって繰り返されることが理想的です。教師は必要最低限の援助を行い、子どもの自己発見を促すことが求められます。
 

高齢者のモンテッソーリ

 マリア・モンテッソーリ自身は、子どもの発達段階を0歳〜24歳まで、6歳区切りの4段階に分けて考えました。海外では、モンテッソーリ教育の小学校も存在します。
 さらに近年では、子どもの主体性を尊重したモンテッソーリ教育手法を、高齢者介護にも応用した事例があります。一人ひとりの活動を尊重する基本方針は、世代を問わず、人間に生きる希望を抱かせます。

 

恩師の言葉〜私の思うモンテッソーリ教育

 モンテッソーリ教育は、単なる早期教育でも知育教育でもありません。一つの哲学であり、ムーブメントです。

 モンテッソーリ教育は、子どもが自立と自律を獲得する教育方法です。自立した人間は、自ら考え行動できるようになります。その行動規範は、自分と皆の幸せです。
 

まとめ〜子どもから始まる世界平和 

 マリア・モンテッソーリは、社会改革者、フェミニスト、平和主義者でもありました。

 モンテッソーリ教育の最終的な目的は、世界平和です。
 自己肯定感を持ち、有能で自立した人間は、自ずと周囲への愛を持ちます。そして自分の力を、社会のために発揮するようになります。
 一人ひとりが、真っ当に成長し、なすべきことをなせば、争いはおきません。

子どもは大人の建設者である

マリア・モンテッソーリ

 子どもは自分自身を建設する発達の途中にあります。

 さらに、子どもは次の世代の大人です。人間は、世代交代を繰り返し、発展をしてきました。私たちは、子どもを通じてのみ、よりよい人類になれるのです。