モンテッソーリ教育の実践と普及

ミッションへの思い


私が初めてモンテッソーリ教育と出会った場所は、転職先を探している時に、園見学のため訪問した認可保育園です。
園長先生に案内されて、幼児クラスの部屋を見た時の衝撃は今も覚えています。

その園は、外観は普通の一軒家のようでした。幼児クラスの扉を開けると、そこには木目を活かした家具があり、ロフトや吹き抜けもある空間でした。すごく温かみのある家庭的な空間です。

そして、棚には木でできた玩具のようなものや、トレイにのった器など、いろいろな物がたくさん並んでいました。

見学した時、ちょうど子どもたちは散歩に出ていて、部屋は静かでした。園長先生の説明を聞きながらも、私は棚に並んだ玩具から目が離せませんでした。

「これはなんだろう?」

一見して、遊び方がわかるパズルのようなものから、なんだか得たいの知れないものまで、本当に様々なものがあります。そして、どれもが「どうぞ手にとってください」とばかりに、棚に等間隔に並んでいます。
保育園というよりも、センスの良いおもちゃ屋さんのようです。

それまで、一斉保育の現場しか知らなかった私にとって、その保育園の環境は衝撃的でした。「モンテッソーリ教育ってなんだ?ここで、これで、何をやるんだ?」という思いでいっぱいでした。
帰り道その足で、本屋に寄ってモンテッソーリ教育に関する本を2冊買って、車内で読み始めました。
・・・その日は午後にもう1園、見学に行ったはずなのですが、よく覚えていません。

その後、その園に無事就職し、モンテッソーリ教育に浸かる日々が始まりました。

自分自身が一人の教師としてモンテッソーリ教育に関わるようになって、確信したことがあります。

「これは面白い」

モンテッソーリの教具を介して、子どもたちと関わること。子どもたち自身が、教具を触っていくなかで、成長する姿を見せること。
私自身単純に、モンテッソーリ教育を介して、子どもと関わることが、ただただ面白いのです。
こんなに面白い仕事があったんだと嬉しく思います。もう、これだけをやっていきたい。

モンテッソーリ教育の「実践」の根っこは、この個人的な願望です。

さらに、実践をしていく中でこうも思うようになりました。

「今、モンテッソーリ教育に触れられる子どもたちが羨ましい。この環境で育つ子どもたちはきっと、楽しく、充実した人生を送るだろう」

この本当に自由な環境と選択肢がある中で、のびのびと育つ子どもたちは、どの子も幸せそうです。今、子どもたちがそのような環境で育つ手伝いができることは私にとっても幸せです。
でも、もし叶うのならば、僕自身もこんな環境で育ちたかった。

ここで質問です。あなたの身近に、モンテッソーリ教育が受けられる幼稚園や保育園はありますか?

・・・あったとしたら、あなたは幸運です。
ですが、まだまだ身近にないという方も多いです。

モンテッソーリ教育をもっと身近にしたい。幼児期の教育の選択肢として、当たり前のものにしたい。

これが、私の願うモンテッソーリ教育の「普及」です。

実践と普及。根っこはどちらもとても個人的な願望です。でも、結果として誰かのためになれば、これほど嬉しいことはありません。
実践と普及。どちらかに関わることであれば、どんなことでも、楽しんで喜んで勢いよく取り掛かります。

どうぞ、末永いお付き合いをよろしくお願い致します。